親の介護や見守りに備えるなら、電気代だけを単独で見直すより、親世帯と自分世帯の固定費を同じ形で棚卸しするほうが実務的です。

見守りカメラ、スマホ、ホームルーター、介護用品、通院の移動費が増えると、月々の支出は少しずつ重くなります。先に電気・ガス・通信の契約を整理しておくと、必要な支出に回せる余地を作りやすくなります。

ただし、いきなり乗り換えを始める必要はありません。最初にやることは、請求明細、契約名義、支払い方法、会員ID、解約条件をそろえることです。

最初に見る明細

まず、親世帯と自分世帯で次の情報を並べます。

固定費最初に見るもの確認すること
電気検針票、会員ページ、カード明細契約会社、プラン名、供給地点特定番号、お客さま番号、月使用量
ガス検針票、請求書、会員ページ都市ガスかLPガスか、契約名義、支払い方法、セット契約の有無
通信回線会社のマイページ、カード明細光回線、ホームルーター、スマホ、端末分割、不要オプション
生活系銀行口座、カード明細新聞、固定電話、保険、サブスク、NHK、ウォーターサーバーなど

電力会社の切り替えでは、検針票などで確認できるお客さま番号や供給地点特定番号が必要になります。比較サイトを見る前に、まず現契約の情報を集めるのが先です。

親世帯では、紙の検針票、古い通帳、家電量販店で契約したスマホ、昔からの固定電話などが混在しがちです。家族が勝手に契約を変えるのではなく、本人と一緒に「何に毎月払っているか」を確認します。

電気代で確認すること

電気代を見るときは、基本料金と従量料金だけで判断しないほうが安全です。電気料金には、燃料費調整額、再エネ賦課金など、毎月や年度ごとに変動する要素があります。

2026年度の再エネ賦課金単価は、経済産業省公表で1kWhあたり4.18円です。たとえば月400kWh使う世帯なら、再エネ賦課金だけで月1,672円の計算になります。親世帯が昼間在宅で冷暖房を長く使う場合、使用量の確認はかなり重要です。

乗り換え前に見る項目は、次の順番です。

  • 直近12か月の使用量
  • 契約アンペア
  • オール電化かどうか
  • 夜間料金や時間帯別プランの有無
  • 燃料費調整の上限有無
  • 解約手数料や違約金
  • セット割の割引対象

特に、昔のオール電化向けプランや時間帯別プランは、親の生活パターンが変わると合わなくなることがあります。以前は夜間中心だった使い方が、今は昼間在宅中心になっているなら、月額だけでなく時間帯別の使い方も見直します。

ガス代で確認すること

ガスは、最初に都市ガスかLPガスかを分けます。都市ガスは導管で供給され、LPガスはボンベ配送などで供給されるため、料金の見方や切り替えやすさが違います。

LPガスでは、2025年4月に料金表示・計上方法に関する新しいルールが施行されています。基本料金、従量料金、設備利用等料金を分ける三部料金制が重要になり、LPガス消費と関係のない設備費用を料金に含めることが制限されています。

親の実家が戸建てや地方部にある場合は、次を確認してください。

  • ガス種別が都市ガスかLPガスか
  • 請求書に設備利用料があるか
  • 電気・ガスのセット契約になっているか
  • 名義変更や支払い方法変更の手順
  • 賃貸の場合、入居者だけで変更できる契約か

電気・ガスのセット割は便利ですが、「セットなら必ず安い」とは言えません。割引対象が基本料金や従量料金部分に限られることもあり、燃料費調整や再エネ賦課金、通信の解約費用までは別です。

通信費も同時に見る

親世帯の固定費見直しでは、通信費を後回しにしないほうがいいです。見守りカメラ、スマホ、ホームルーター、通話定額、端末分割払いが重なると、電気代で下がった分以上に通信費が増えることがあります。

通信費では、次を確認します。

  • 光回線があるか
  • ホームルーターを契約しているか
  • スマホの契約会社と料金プラン
  • 端末代の分割払いが残っているか
  • 通話定額、補償、動画サービスなどのオプション
  • 店頭契約で不要なオプションが残っていないか

格安SIMは、条件が合えば固定費を下げる余地があります。ただし、親世帯では「安い」よりも、問い合わせ方法、店頭サポート、通話の使いやすさ、家族が設定を手伝えるかを優先したほうが失敗しにくいです。

見守りカメラ導入前のWi-Fi確認

見守りカメラを入れる前に、通信環境を確認します。多くの家庭用カメラは2.4GHz Wi-Fiを前提にしており、5GHzだけの設定では使えない機種があります。

確認するのはこの4つです。

  • 2.4GHzのWi-Fiが使えるか
  • カメラを置く場所まで電波が届くか
  • 上り速度が足りるか
  • 親本人がカメラ設置に同意しているか

Wi-Fiがない実家では、光回線かホームルーターを検討します。光回線は安定しやすい一方で、工事や立ち会い、建物側の許可が必要になることがあります。

ホームルーターは、ドコモ home 5G、SoftBank Air、WiMAX系などが候補になります。工事不要で始めやすい反面、登録住所以外で使えないサービスや、端末代・契約期間・キャンペーン条件で総額が変わるサービスがあります。

ドコモ home 5GやSoftBank Airなども含め、登録した設置場所住所での利用が前提になるサービスがあります。自宅で契約して親の実家に持っていく、といった使い方は避けてください。

見守りサービス全体の選び方は、高齢者見守りサービスの月額料金を比較で整理しています。

親世帯で勝手に契約変更しない

高齢の親世帯では、電話や訪問での勧誘をきっかけに、本人が内容を十分理解しないまま契約変更してしまうことがあります。消費者庁や国民生活センターは、電気・ガスの契約トラブルについて、社名、連絡先、契約期間、料金算定方法、解約手数料などを確認するよう注意喚起しています。

家族が確認役になる場合も、本人の同意なしに進めないことが大切です。最低限、次のルールを決めておくと安全です。

  • 電気・ガス・通信の電話勧誘はその場で契約しない
  • 検針票や契約番号を電話口で安易に伝えない
  • 乗り換え前に家族へ相談する
  • 契約書面やメールを保管する
  • 変更後8日以内に内容を確認する

携帯電話やスマホでは、説明不足や電波状況など一定条件で、契約書を受け取ってから8日以内に契約を解除できる「確認措置」の対象になる場合があります。対象契約かどうかは契約書面で確認してください。

乗り換え前のチェックリスト

申込前には、次を確認します。

  • 本当に月額が下がるか
  • 割引は何か月続くか
  • 解約金はあるか
  • 工事費や端末代の残債はあるか
  • セット割を外すと他の料金が上がらないか
  • 親本人が理解しているか
  • 問い合わせ先が分かるか
  • 紙明細が必要か、Web明細だけで困らないか

固定費見直しは、節約よりも「契約を見える化する作業」と考えるほうが向いています。見える化できていれば、介護や見守りで支出が増えたときにも、どこを調整できるか判断しやすくなります。

まとめ

電気代の見直しで先にやることは、電力会社を変えることではありません。親世帯と自分世帯の固定費を同じ表で整理し、契約名義、支払い方法、月額、解約条件を確認することです。

そのうえで、電気、ガス、通信を順に見ます。見守りカメラやスマホを導入するなら、通信費まで同時に確認します。

条件が合えば乗り換えで下がる可能性はあります。ただし、高齢の親世帯では、本人の理解と同意、勧誘トラブルの回避、サポートの受けやすさを優先してください。